Jリーグジャッジ リプレイ 番外編 ビデオアシスタントレフリー特集

 今回のテーマ:VARについて(ルヴァンカップで導入されて結構話題になってるから)

 

Jリーグジャッジリプレイ」。毎週更新されておりますが、最近では全然見てもいません(たまに興味のある時だけ)。今回番外編として「ビデオアシスタントレフリー特集」をしていたので見ました。

 

ルヴァンカッププライムステージ(準々決勝)からVARが導入されて色々と話題になっていますね。「Jリーグジャッジリプレイ」の公式TwitterでもVAR絡みの取り上げて欲しいという投稿が結構ありました。

 

出演者:原さん、扇谷さん、平畠さん、桑原さん(司会)

 

まずは、VARに関して扇谷さんが解説。特にVARが介入できる4つの事象について説明されてました。

 説明の後にルヴァンカップで実際に起こったプレイの映像を取り上げて解説。

 

ルヴァンカップで発生したVAR介入の対象となるシーンの解説

 

1.オンフィールドレビューについて:

試合:G大阪FC東京 47分 (ルヴァンカップ準々決勝第1戦)

プレイの概要:PAライン上(右サイドより)からG大阪の選手がシュート。FC東京のGKの手をはじいてゴールライン上までボールが転がるが、GKが追いかけてゴールライン上でボールをキャッチ。副審がゴールインと判定して主審もゴールインを一旦認めるが、その後主審がTVシグナルを示してモニターで確認(オンフィールドレビュー)。その結果、判定が覆ってノーゴール。

 

扇谷さんの説明では、このプレイに関しては本来であれば得点が入ったかどうかという事実の確認なのでオンフィールドレビューは必要がなく、VARからの情報だけで(「ゴールインです」や「ノーゴールです」など)判断する。今回のケースはVARを導入した初回という事と、設置されたカメラの映像ではゴールしたかどうかが分かりづらいために主審が確認されたようです。

ちなみに主審は「令和の大誤審」で主審をされていた山本雄大さん。必死にモニターを確認してましたけど、映された映像(あれが一番見える映像なら)では距離・角度からいってゴールインしたかどうか判断するのは結構難しそう。「令和の大誤審」の時にはしっかりゴール横の映像があったのに、今回はVAR導入しているのに明確に分かるカメラが設置されていないってなんでや(ルヴァンカップDAZNじゃないからか)!

山本レフリーはあの試合の後、復帰まで大変だったでしょうけど頑張って欲しいですね。

カメラの設置台数に関しては原さんが「費用は掛かるけどゴール横に置かないと意味がないのでそれは検討する」 って言われてました。確かにせっかくVAR導入したのに「あの映像(角度・距離)だけじゃどっちかわかならい」みたいになったら無駄ですからね。せっかく導入するなら、きっちりと判定できるようにして欲しいですね。

 

2.VARオンリーレビューについて:

 試合:名古屋対川崎F 11分 (ルヴァンカップ準々決勝第2戦)

プレイの概要:右サイドで受けたパスがオフサイド。副審は「オフサイドディレイ」で旗を挙げず。パスを受けた選手が一旦後ろにボールを下げて、そこから中央に横パス。PA内にボールを送ってパスをつないでシュートでゴール。でも残念ながらオフサイドの判定でゴール取り消し。

 

このプレイは主審がTVシグナルを示したけど、主審自らは映像の確認はせずに、VARからの情報でオフサイドの判定。

 

原さんの意見:このプレイは納得がいかないようで、パスを受けたけどゴールに向かわずにボールを戻した時点で副審は旗を挙げるべきという意見。

それに対して扇谷さんが「ボールは戻したけど、まだAPP(アタッキングポゼッションフェーズ)にあるので止めなかった。自陣までボールを下げるなどした場合は一旦攻撃が終わったとしてリセットされるが、VARがチェックをしていて攻撃が続いている間はリセットされない」という説明をされていました。

それでも原さんは納得がいかない様子で、「それでもこのプレイは一度ボールを戻しているんだからそこで止めないと・・・」と言われてました。確かに観客からみたら、あのプレイで得点が 取り消されてもどこがダメだったのか全然わからないんじゃないでしょうか。エンターテイメントとしてみるとあれはどうなんだろうと思いますね(おそらく原さんもその観点から意見されていると思います)。

私も原さんと同じ意見で、パスを受けてその流れでシュートあるいはクロスを上げてゴールなど連続した攻撃の場合は いいでしょうけど、このプレイのように後ろに戻した事で攻撃の流れとしては一旦切れた訳で、そこで旗を挙げた方が良かったんじゃないかなと思いました。

その辺りは扇谷さんも「今はVARなしとVARありの試合があるので対応が難しい部分があるけど、今後すべての試合でVARが導入されればその辺りをどうジャッジするのかも固まっていくと思います」という説明でした。

 

平畠さんが「主審がTVシグナルをしたら全部モニターを見に行く(オンフィールドレヴュー)と思っている人が多いけど、決してそうではないので「早く見に行けよ」って思わないように選手や観客も理解しないといけないですね」と言ってました。

 

3.オフサイドディレイについて:

 試合:川崎F対名古屋 14分 (ルヴァンカップ準々決勝第1戦)

プレイの概要:右サイドから中央にパス。抜け出した選手がゴールするもオフサイドの判定。副審はパスを受けた時点では「オフサイド」の旗を挙げず(ディレイ)。ゴールインしてから旗を挙げる。映像で確認するとオンサイドという事でゴールの判定。

 

 このプレイに関してはその前のプレイ(一旦プレイが途切れたけどリセットされずに結構時間がたってからゴールが取り消された)と違って、パスを受けてすぐにシュートを打ったプレイが対象だったので、分かりやすかったですね。

 

4.VARの介入について:

 試合:鹿島対浦和 89分 (ルヴァンカップ準々決勝第2戦)

プレイの概要:中央からPA内に走り込んだFWにパス。後ろから追いかけてきたDFがチャージして転倒するもノーファウルの判定(エリア内なんでファウルならPK)。VARは介入せず。

 

その時のレフェリーの会話:

 

 

☆パスが出る

主審:「ゴー、ゴー、ゴー」(オフサイドギリギリだったので、オフサイドではないという意思表示(選手に対して叫んだのかレフェリー陣に対して伝えたのかどちらか不明?))

VAR:「ポッシブル・オフサイド

☆DFがチャージして転倒

VAR:「ポッシブル・ペナルティ」

主審:「ない、ない、取らない」

VAR:「いやー」(「それはPKじゃない?」と思っている様子)

主審:「コンタクトはあるけど自分からイニシエートして(きっかけを作って)やってる」

VAR:「なるほど」、「OK(小さな声で)」

主審:「自分からディフェンスのコースに体を入れてる」

VAR: 「OK」

VARは映像をリプレイで確認して、「なるほど」、「OK」と言っているようです。

 

 

DFのチャージに対してFWがそれをブロックするために足をDF側に踏み込んだ結果接触して倒れたから、ファウルを取らなかったという事ですけど、確かに映像を何回もみればそうとれるけど、実際にあのプレイを1回見ただけだと普通はPKを取ってしまうと思います。

さすがは2018年のJリーグ最優秀主審賞の佐藤隆治さん。

佐藤隆治 - Wikipedia

あのプレイをPKかどうか見極めただけでもすごいのに、VARに無線で理由をきちんと伝える情報処理能力は本当にすごいですね。

私なんかアドバンテージ一つ満足に取れなかったりするので、瞬時にこれだけ多くの事をこなせる(こなさないといけない)Jリーグのレフェリーは本当にすごいなと思います。

 

扇谷さんの解説では、VARが介入するのは、映像をみれ

ば10人いたら9人はPKと判断するような明らかな事象だけで、今回のようにどちらとも取れるようなプレイは介入しないと説明されてました。

 

今回のレフェリー同士の会話は、以前紹介した同じ「Jリーグジャッジリプレイ」のVAR編と同様、現場の審判の緊張感なんかも伝わってきてすごくおもしろかったです。

 

あるプロフェッショナルレフェリーの方から「最近は無線を使う事が当たり前で、逆に無線に頼りすぎてしまっている」という事を聞いたことがあるんですが、VARを導入する事で今までとは比較にならないくらい無線でのレフェリー同士のコミュニケーションが重要になりますね(FOOT×BRAINで西村レフェリーが国際審判だとVARが導入されることで今まで以上に英語(あるいはスペイン語)でのコミュニケーションができないといけないと言われてました)。

まあ、4種で孤独な一人審判している私にとっては試合中に会話するなんて無縁の世界ではありますけど。

 

全体の感想:

世間一般の人は「VARを入れれば判定の精度は簡単に上がるんでしょ」という意見が大半なんじゃないかと思うんですけど、決してそうではなくて、その事で審判には別の負担(難しさ)が大きくなっているという事がよくわかりました。

 

ワンプレーワンプレーでプレーが途切れる野球やテニスなんかだとビデオ判定は簡単に入れられているように思いますが(素人の勝手な決めつけか?)、プレーが流れていて中々途切れないサッカーのようなスポーツはビデオ判定は中々難しいですね。

 

サッカーもGLTだけなら簡単に入れられるんでしょうけどね。

 

 

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